現役時代、規格外の体躯と溢れる闘志を武器に幾多の名勝負を繰り広げた元大関・小錦。引退後は精力的に芸能活動をこなし、04年に結婚した千絵夫人とは今もお互いを「ハニー」と呼び合う仲だという。だが、夫婦生活は大きな壁にぶつかっていた。どれだけ願っても、子供を授からない。原因は小錦にあった――。5年間にわたる苦悩の体験を初めて語った。
小錦が医者から「精子がいない」と告げられた時は以下のような状況だったという。
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僕はEDではないので、精子を出して調べてもらったら、医者は「精子がいない」って……すごいショックだった。でも、僕以上に落ち込んでいたのは奥さん。医者の説明を聞く間、ずっと涙が止まらなかった。彼女は僕が子供を切望していたことを、誰よりも知っているからね。
精子がいない原因について、医者はわからないといっていた。でも、僕は現役時代の無理が祟ったんじゃないかと思ってる。炎症を起こしやすく、40度以上の高熱を何度も出したから。痛み止めの薬を所定の何倍も飲んだり、ケガをする度にレントゲンを撮ったのも影響したのかもしれない。
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不妊治療に詳しい東邦大学教授の永尾光一医師によると、男性不妊は精子の数と質に問題があるケースが多く、【1】精子の運動率が低い精子無力症【2】精子の数が少ない乏精子症【3】精液中に精子がいない無精子症――などが挙げられ、小錦は【3】に該当するとみられる。
「無精子症になる原因はハッキリしないことが多いが、先天的な染色体異常や、高熱を出した際に精巣が腫れてしまった結果、精子を作る機能が低下した可能性が考えられます。また抗がん剤など、薬の副作用によるケースもある」(永尾教授)
※週刊ポスト2010年9月10日号