2008年1月7日、読売新聞グループ本社の賀詞交換会の年頭挨拶で、渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長(当時81)は、こう怪気炎をあげていた。(週刊ポスト2008年2月15日号より)
「務台(光雄・元読売新聞社長)さんは94歳まで代表取締役でいて、実際に実権を持って、指導力を発揮しておられた。まだ私は、片付けるまでは死んじゃいけないという問題が多少残っているから、読売の将来を見届けたい」
挨拶を聞いた幹部社員が語る。
「この“生涯現役”宣言は、我々もショックでした。会長の影響力が今後も続くのは皆、分かっていたにしても、ひとつは94歳という具体的な年齢が出てきたこと。もうひとつは、務台さんの名前を久しぶりに聞いたことで、あの“天皇”のイメージが会長にオーバーラップしたことです」
挨拶の要旨は1月18日付の読売新聞社報にも掲載されて全社員の知るところとなり、多くの社員が驚いたという。
もっとも、渡辺氏は4年前の同じ「新春所長会議」の場で、読売新聞中興の祖といわれる正力松太郎氏をこう批判していた。
<政治権力を目指してからの正力さんは、新聞経営者として間違いを犯しております。それは、後継者の養成をしなかったことです>
“生涯現役”宣言の真意は何だったのか。