結局は役人のいいなりか、と早くも失望感が広がる菅政権。官僚主導の元で無差別大増税が始まろうとしている。
民主党の税制改正プロジェクトチームは8月末の総会で「地球温暖化対策税」(通称・環境税)創設の準備に入った。
この税はCO2削減のためにガソリンに1兆円、その他の石油製品や石炭などの化石燃料に1兆円の合計2兆円を新たに課税するものだ。民主党はガソリン税の暫定税率(1リットル約25円)の廃止を昨年の総選挙でマニフェストに掲げていたから、国民には環境税を創設しても家計の負担増はわずか(1世帯あたり年間1127円)と説明していた。
ところが、鳩山前内閣はその暫定税率廃止を断念し、ガソリン価格は結局、値下げされなかった。それなのに、菅内閣は一方の環境税だけは方針通り2011年4月に創設しようというのである。
実現すれば、ガソリンは暫定税率に加えてさらに1リットルあたり約17円値上げとなり、重油や天然ガスにも課税されるため当然、電気やガス料金の値上げも招く。1世帯あたりの年間負担増は約1万円となる。
そんな庶民の不安などどこ吹く風で、霞が関は早くも「2兆円」の財源分捕り合いを演じている。
環境省は増税で得る資金を天下り団体を通じた無利子融資、地域づくり事業などの補助金にあてる計画だ。また、鹿野道彦・新農水相は、「農産物の価格低下の影響を受ける農家の対策費に使いたい」と発言し、横取りを狙っている。
さらに、この増税は灯油も対象になる。不況に苦しむ東北、北海道や、特にエアコンを持たない低所得者層を直撃する。
※週刊ポスト2010年10月8日号