強制起訴となる小沢一郎氏の出処進退について、不思議なことに、新聞各紙の主張は「議員辞職すべし」で足並みが揃っていた。 ジャーナリスト、上杉隆氏はそうした主張は、あまりに自己矛盾に陥っていると指摘する。
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10月5日の紙面では、「自ら議員辞職の決断を」と朝日が社説で宣言すれば、「潔く議員辞職すべきだ」と産経も足並みを揃える。ふだんは政治的主張が正反対の朝日・産経ですらこれだ。読売・毎日の内容もほぼ同じで、新聞は「反小沢」になるといきなり固い結束を見せる。
ところが、小沢氏に議員辞職を求める彼らのそうした主張は、残念ながら自己矛盾に陥ってしまっている。
「これまでの政治的かつ道義的責任に加え、刑事責任も問われる。小沢氏本人は『裁判の場で無実が必ず明らかになる』と語ったが、今こそ自ら進んで責任を認め、潔く議員辞職し、政治生活にピリオドを打つべきだろう」
と産経は書いた。では、同じく公職にあって、起訴された村木さんのときはどうだったのか。彼女も起訴された時点で、厚生労働省を辞めるべきと、どの新聞がいったのか。
「確かに有罪が確定しない限り、『推定無罪』の原則が働く。しかし、そのことと、政治的な責任とはまったく別問題である」「その業績の歴史的意義をこれ以上損なわないためにも、ここは身を引くべきである」(朝日)
もはや支離滅裂だ。「推定無罪」だとすれば、小沢氏のどこに「政治的な責任」があるというのか。朝日は小沢氏に「政治とカネ」の問題があるとの前提で書いているが、その前提を示す具体的な証拠は何一つ提示されていない。
※週刊ポスト2010年10月22日号