植村花菜の歌う『トイレの神様』の大ヒットなどにより、教育現場でもトイレ掃除が見直されている。10月18日付の河北新報は、宮城県内の中学校で行なわれた「親子トイレ掃除に学ぶ会」の模様を伝えた。「トイレ掃除をすれば心が磨かれる」という趣旨だが、この記事がネット配信されるや、「人権蹂躙だ」「衛生上よくない」といった反発の声が相次いだのだ。というのも記事には、女子中学生が「素手」で便所を掃除する写真が添付されていたからだ。
いったいなぜ素手なのか。同校PTA副会長が語る。
「手袋をしていると汚れの感触が分かりません。子供たちには素手で汚れを取る達成感を感じてほしいのです。大人の本気を表現したいという一部の女性保護者は、素足になって子供と一緒に掃除をしていました」
この素手トイレ掃除は、自動車用品販売のイエローハット創業者・鍵山秀三郎氏が広めたものだ。著書『掃除道』(PHP文庫)によれば、ゴム手袋や長い柄の道具を使うことは〈問題から遠ざかること〉と同じだそうで、〈敏感な指先から直接感じることが、問題解決の早道〉だから、素手でやるのだという。
実際、同書には「私自身の汚れた部分もこの便器の汚れとともに、洗い流されたような気がしました」という体験談が寄せられているという。
※週刊ポスト2010年11月12日号