簡単に数千人もの若者が集まり、日本に対する憎悪の炎を燃やす反日世代(20代)「憤青」(フェンチン)。彼らは、どうやって育成されたのか。なぜ、今回こうも多くの若者がデモに参加したのか?
中国出身の評論家、石平氏はこういう。「今回のデモの主役は、一人っ子政策が敷かれた1980年代以降に生まれた『80后(バーリンホウ)』です。甘やかされ、何不自由なく育った80后は、反日教育を強く刷り込まれた世代でもある。その反日教育を国策として主導したのが、1993年に国家主席となった江沢民であり、80后を反日に染め上げたのです」(石平氏)
1970年代末、当時の最高実力者、鄧小平が改革開放政策へ舵を切ったことで、中国社会には経済格差が広がり、地方では農民暴動が頻発していった。同時に政治的な自由を求める声が高まった。それが民主化運動、そして天安門事件へつながっていったわけだが、民主化運動を弾圧して壊滅させた“功績”が認められ、国家主席にまで昇りつめたのが江沢民前国家主席である。
「江沢民は日本を仮想敵に据えた。『日本が再び中国侵略を企てている。その侵略から国を守るのが中国共産党だ』という考えを刷り込んだ。国民の求心力を保つため日本憎しの共通意識が必要とされたのです」(石平氏)
つまり、“江沢民の子供たち”とも呼べるのが、今、反日デモで怒りの声をあげている若者たちなのだ。
※週刊ポスト2010年11月12日号