中国の小中学生が反日を学ぶのは学校内だけではない。遠足や修学旅行では、各地の反日記念館を訪れるのが慣例だ。なかでも一番人気は南京事件の際の日本軍の蛮行の史料を展示したという南京大虐殺記念館である。2007年12月のリニューアルで、敷地面積は旧館の3倍の7万4000平方メートルに拡大された。取材で訪れたジャーナリスト・山村明義氏は語る。
「入り口の正面にはいきなり『300000』と犠牲者数が彫られたモニュメントがある。あくまでこの数字を主張し続けるようです。それどころか、展示の説明文には34万人と記されているケースもあり、さらに水増しされていた」(「東京裁判」では被害者は20万人とされていた)。
展示物には、明らかに合成と分かる写真などが満載で、まさに“共産党のプロパガンダ”という言葉を彷彿させたという。しかし、年端も行かない子供たちがこういった残虐な写真を見せられれば、無条件に日本に対する憎悪を膨らませることになる。
「中国の小学校で日中戦争の歴史を教える段階になると、教師は日本軍の残虐行為を涙ながらに語り、感極まって泣き崩れる。子供たちも泣き叫んで興奮し、教科書を黒板に投げつけたり、机をひっくり返したりという集団ヒステリー状態になる。最後は教室が静まり、恍惚として日本憎しの一体感を共有する。これは私の甥が実際に受けた授業の内容です」(中国出身の評論家・石平氏)
明星大学戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏によれば、前述の中学校歴史教科書の教師用指導書には、教室での指導方法を解説したビデオCDが添付され、その中にはこんなシーンがあるという。
教師「人殺しはするわ、放火はするわ、凶悪の限りだ」(生徒に復唱を促す)
生徒「人殺しにするわ、放火をするわ、凶悪の限りだ」(生徒は全員で復唱)
こうなるともはや“洗脳”である。勝岡氏によれば、「教科書には『南京大虐殺を勉強したら、日本の中学生に手紙を出して真実を伝えよう』というテーマ学習まで“ご丁寧”に盛り込まれている」そうだ。
※週刊ポスト2010年11月12日号