わが国の「外交オンチ大臣」に学んでほしいのが、「捕鯨の町」和歌山県太地町の漁師たちの知恵だ。
9月以降、太地町では「シー・シェパード」ら反捕鯨団体メンバーが滞在して執拗な抗議活動を繰り返しており、住民と一触即発の状況が続いていた。それでも、地元は非難の応酬をするのではなく、11月2日に団体側と対話集会を開いた。
意見交換会の実行委員の一人がいう。
「相手を同じテーブルに着かせて、主張をぶつけ合う。それが毅然とした交渉のあり方だと考えた。話し合ったからといって問題が解決するわけじゃない。だが、公の場で町の見解を述べることで、反捕鯨団体が世界中に広めている“捕鯨漁師は野蛮人の集まり”という批判は和らぐ。それだけでも意味はある」
計算もないままに「蛮勇」を振るうことしか頭にない前原誠司・外相は、この言葉をどう聞くのだろうか。
※週刊ポスト2010年11月19日号