国内

側近のリークで「小沢一郎の秘密の計画」はあえなくご破算

 小沢一郎支持者への弾圧が始まった。大手銀行が、「小沢一郎後援会に入っているから」を理由に、融資を断るケースが起きている。融資を断られた会社経営者から抗議を受けた某大手銀行の担当部長は「いろいろな信用調査資料がある」と述べたというが、小沢後援会名簿など銀行が独自に入手できるはずがないのだ。

「小沢さんは、自民党を飛び出してから20年近くも常に政敵に狙われる存在だった。しかも多くの時間を野党で過ごした。だからどんな国家権力に狙われても大丈夫なように、金銭について厳密に管理することと同時に、後援会を守るために、その名簿をトップシークレットにしてきた。事務所の最高幹部でさえ、担当外の地域の名簿は知らないほどだ」(小沢側近)
 
 ところが、その門外不出の名簿が国家権力の手に渡る事態が起きた。いわゆる陸山会事件である。東京地検特捜部は、捜査と称して、小沢氏の事務所など関係個所を何度も家宅捜索した。

「その過程で、会計関連資料のみならず、後援会名簿やプライベートな書類にいたるまで、一切合財持っていかれた」(同前)
 
 それが国家権力の手から民間銀行に渡り、融資の審査基準にされているとすれば、どういうわけなのか。どういうルートで、どういう指示がなされたのか。

 もうひとつの謎は、支持者に対する弾圧が確認されているのは、この夏以降だという点だ。最初の家宅捜索は今年1月に行なわれている。検察は、小沢氏に関して様々な真偽不明のリークを繰り返したが、後援会名簿を流出させた気配はなかった。あれば、マスコミが後援者に殺到したはずだが、そのような事態は、今回の弾圧にあった有力後援者にも起きていなかった。

「この夏以降」に起きたこと、といえば、疑われるのは“政権交代”だろう。確認できた人権侵害の事例は、いずれも菅内閣が発足して以降のものである。少なくとも、国家の暴力機関たる検察が捜査資料を流出させたとするならば、尖閣ビデオ流出のケース以上に、それは政権全体の責任である。

 検察資料がマスコミに流されたことは「確実」である。なぜなら、小沢事務所幹部も知らない「小沢のプライベート」が、最近、記者クラブ・メディアにバラ撒かれたからである。よく知られるように、小沢氏は多趣味である。囲碁と釣りはセミプロの腕前で、他にも小鳥の飼育などを楽しむ。しかし、どこに行っても注目を集める存在だけに、プライベートは極力、他人に知られないよう隠密行動を取ることが多い。

 そうした趣味を楽しむための「秘密の計画」を、誰かがマスコミにリークした。もちろん本誌も知らなかったことだが、小沢氏はすでに、「誰にも知られずに趣味を楽しめる方法」を考え、信頼する人物にその相談をしていたらしいのである。ところが、事務所にこっそりしまっていたその人物に関する「書類」が、ある日、同時に、複数の記者クラブ・メディアに渡り、それを手に手に、記者たちがその人物の元に押し寄せるという「事件」が起きたのだ。その剣幕は、まるで「お前が小沢に手を貸す悪徳業者か」といわんばかりで、この意味のない取材ラッシュによって、小沢氏の「老後の夢」は風前の灯になった。

「菅政権は小沢さんを政治的に抹殺するまでやる気なんだろう」――小沢支持派の中堅議員はそう受け止めている。
 
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)
着信表示に実在の警察署番号が出る特殊詐欺が急増 今後危惧されるAIを活用した巧妙な「なりすまし」の出現
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
MajiでFukkiする5秒前(時事通信フォト)
2年ぶり地上波登場の広末涼子、女優復帰は「過激ドラマ」か 制作サイドも“いまの彼女ならなら受けるのでは”と期待、“演じることにかつてなく貪欲になっている”の声も
週刊ポスト
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
YouTubeでも人気を集めるトレバー・バウアー
【インタビュー】横浜DeNAベイスターズ、トレバー・バウアー「100マイルを投げて沢村賞を獲る」「YouTubeは第2の人生に向けての土台作り」
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン