菅政権が掲げる「政治主導」はすっかりメッキがはがれたが、ところがどっこい、政権の要、仙谷由人・官房長官はプライドをかけて唯一の「政治主導」に邁進している真っ只中だった。
去る9月末、内閣は消費者庁にプロジェクトチームを発足させた。その名も「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会」。2008年までに22件の死亡事故が発生したこんにゃくゼリーの「形と硬さ」の基準を決めるためのもので、目下、「物性・形状改善サンプル」を作製し、「窒息事故リスク」を評価する実験が行なわれている。つまり、“こんにゃくゼリーはどれほど危険か”を専門家に分析させているのだ。
「こんにゃくゼリー規制」は仙谷長官の本当に数少ない政治実績だ。野党時代には民主党の人権・消費者調査会長を務め、当時の野田聖子・消費者担当相に販売禁止を直談判して“闘う政治家”ぶりを見せつけた。菅政権発足後の7月には消費者庁が「法規制が必要」との見解を示す。そして満を持して立ち上げたのが先の研究会というわけだ。
「岡崎トミ子・消費者担当相は仙谷さんとは社会党時代からの仲間で、戦後賠償問題でも一緒に活動してきた。岡崎さんが研究会を立ち上げたのは、仙谷氏の強い要請と受け止めている」(消費者庁関係者)
尖閣漁船問題や急激な円高では、「検察が」「日銀が」と他人任せが目立つなか、「こんにゃくゼリー」は紛うことなき政治主導で規制が進んでいるようだ。
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号