民主党内では執行部による「言論統制」のみならず、「参政権の剥奪」が始まっている。その一つが福岡県知事選をめぐる小沢支持派議員の排除工作だ。
民主党では来年4月の知事選の候補者選考を進めていたが、県連代表で候補者選考委員長だった鳩山グループの古賀一成・代議士が、「私も候補者の一人に入れてほしい」と選考委員長を辞任して名乗りをあげた。
ところが、岡田克也・幹事長は、「行司役がまわしをつけてはいけない」と反対し、古賀氏を選考の対象にしない方針を打ち出した。何も選考委員長が職権で「自分にしろ」といっているわけではない。候補者の一人として評価してほしいと希望しただけである。
「官邸と執行部は最初から元官僚の新人を擁立する方針。代表選で小沢氏を支持した古賀氏が割り込む余地はない」(選対関係者)
もっと露骨なのが、普天間基地の移転に直結する沖縄県知事選(28日投開票)に関する恫喝だ。知事選には仲井真弘多・現知事と、前宜野湾市長の伊波洋一氏が出馬を表明したが、2人とも政府案(辺野古埋め立て案)に反対を表明している。
民主党は独自候補を立てずに「自主投票」を決めた。ところが、「自主」とは名ばかりで、岡田幹事長は「県外の民主党議員が沖縄入りして特定の候補者を応援することを禁止する」という通達を出したのである。その通り、小沢側近の川内博史・代議士が告示前に伊波氏の総決起集会に参加すると、岡田氏は「厳重注意」を警告した。
川内氏は「これで処分されるようなら政治弾圧。自主投票だというなら、個々の議員が誰を支持するか国民に示す責任がある」と語っている。
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号