経済評論家の三橋貴明氏は、バブルがデフレの元凶というのは明らかな間違いと指摘する。
「バブルが終わったのは村山内閣の頃でした。国富の総額は横ばいになった。この時期に景気テコ入れを行なえば“失われた10年”と呼ばれるデフレにはならなかった。しかし、次の橋本内閣が逆に財政再建を掲げて消費税引き上げや緊縮財政政策を取ったことで再び国富は減り始め、デフレスパイラルへと向かっていった」
京都大学大学院の藤井聡・教授(都市社会工学)も同じ見方だ。
「デフレの原因は政府が1990年代に100兆円規模の財政出動でデフレ対策を打たなかった政治的な過ちにある。国民は今度こそ政府に徹底的な財政出動を通じたデフレ対策を求めるべきだと強く訴えたい」
デフレ対策を怠った橋本首相自身、後に、「私は1997年から98年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に申し訳なかった。国民に深くお詫びしたい」と語っている。
デフレの元凶はバブルではなく、政治なのである。
※週刊ポスト2011年2月4日号