英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害した罪などで起訴されている市橋達也被告の手記『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録』(幻冬舎刊)が話題を呼んでいる。
手記で注目を集めたのが、沖縄県の久米島近くにある離島・オーハ島での生活だ。現在一人しか住民のいないこの島の小屋に居を構えた彼は、ヘビやヤドカリを食べ、魚の血を飲むなどしながら生き抜いたという。食料を現地調達し、装備を極力排したスタイルの登山を目指す「サバイバル登山家」の服部文祥氏は、彼の生活ぶりをこう評した。
「彼は逃げながら常に食べ物のことを考えていますが、僕も山に入るとそうなるのでよくわかります。そこが生死を分けますから。その点、市橋が図書館に行っているのは鋭い。サバイバルには何よりも知識が重要です。本で調べなければ、食べることができる魚や植物が分からなかったはず。ヘビはうまいんですよ。栄養もあるし。
でも、どうやら図書館では僕の本は読んでいないようですね。読めば、米が重要だってすぐわかったはず。沖縄は気候が温暖だから、水と米さえあれば、小屋にずっとこもって生きていくことも可能だったでしょう」
※週刊ポスト2011年2月11日号