【書評】『日教組』(森口朗著/新潮社/777円)
いったい日教組とは? 本書が明らかにする「正体」は、今までの通説を覆すものばかりだが、特に刮目に値するのはこの箇所だ。
〈自民党こそが日教組を活かし続けた犯人である〉
自民党は竹下登政権下の1989年、国旗国歌の取り扱いを、それまで学習指導要領で国旗掲揚、国歌斉唱が「望ましい」としていたものから、「指導するものとする」に変更した。そして、表面的には自民党支持の保守層にいい顔をする一方で、内容面では日教組にも配慮する。国民の祝日などにも国旗国歌が望ましいとしていたのを、「入学式や卒業式」と限定したのだ。このことで、むしろ〈ほとんどの学校行事から国旗国歌が姿を消した〉と著者は指摘する。
これはあくまで一例だが、著者は、日教組と自民党の馴れ合いが、この国の教育を動かしてきたという。そして、民主党政権となり、今度は堂々と、自分たちの意見を通そうとしている。この国の教育の病根は深い。
※SAPIO2011年2月9・16日号