バブルと言われる中国経済だが、ひとたび中国経済が変調をきたせば、その影響は中国だけに留まらない。バブルがあまりにも大きくなり過ぎたのだ。中国のバブル崩壊はどれほどのインパクトをもたらすのか、経済評論家、三橋貴明氏が、分析する。
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2010年2月、ウォール街の著名な投資家であるジェームズ・チェイノス氏は、「中国の不動産バブルが弾ければ、その影響はドバイ・ショックの1000倍以上」と警告した。
チェイノス氏の警告以降も、中国不動産市場には国内、海外から資金が流れ続け、バブル状態を維持している。10年以上も膨らみ続けた中国不動産という「泡」が弾けた時、世界に与える悪影響はリーマン・ショックをも上回ることも否定できないのだ。
現在の中国経済は、世界的な経済危機の影響で「成長のネタ」を次々に失っている状況である。これほどまでの人口を持ち、規模も巨大な経済が袋小路に突き当たってしまった前例はない。中国の不動産バブルが崩壊した時、人類は歴史上、かつて経験したことのない戦慄的な状況を迎えることになる。
※SAPIO2011年2月9日・16日号