少子化と大学数の増加で、受験生が募集人数を下回る定員割れが相次いでいる。昨年春は、私大の約4割が定員割れだった。つまり、受験勉強を一切しなくても「名前さえ書けば合格」できる学生が急増しているということだ。
そんな学生の受け皿になっているのがAO入試である。90年に日本で初導入されて以来、広がり続けており、昨年度は全私大の入学者の10.5%がAO入試による入学者だった。AOとは、「アドミッション・オフィス」の略で、直訳すると「入試事務局」。
一般的な大学入試は学科試験を受けるのに対し、AO入試では職員で構成される入試事務局が「総合評価」で合否を判断する。“学科試験を受けないでも合格できてしまう”のがミソだ。そのため、定員割れに苦しむ大学では、AO入試を乱発している。
多くの大学は授業やキャンパスを高校生に公開する「オープンカレッジ」を行ない、入学生を増やそうと取り組んでいる。ある学校では、見学に来た高校生に名前や趣味、部活などを書き込む「履歴書」を提出させるという。
そして、なんとその場で「AO入試を行なった」として合格通知を渡すというのだ。こんなことを繰り返していれば、学力低下が解決するはずがない。そもそも学ぶ意欲のない者を大学に入れていることが間違いなのだ。
※週刊ポスト2011年2月25号