小沢一郎・元代表の党員資格停止処分方針を決めた2月15日の民主党常任幹事会。仙谷由人・代表代行の重大発言を大新聞・テレビは黙殺した。
「検察が(小沢氏を)起訴猶予にした。だから、検察審査会が扱ったんだ」――法務省訓令によると、起訴猶予とは、「被疑事実が明白」にもかかわらず起訴されないケースを指す。
仙谷氏は、検察が起訴猶予にしたのだから「被疑事実は明白」で、処分も当然といいたかったらしい。
これは完全な間違いである。東京地検特捜部は、小沢氏を嫌疑不十分で不起訴にしている。つまり、「犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分」という判断である。起訴猶予とは全く意味が異なる。
出席者は口々に「小沢さんは不起訴でした」と訂正を求めたが、仙谷氏は「いいや、起訴猶予だ」と5回も繰り返す。業を煮やした常任幹事の川内博史・代議士は、起立してこう反論した。
「ここに検察の資料を持っておりますが、小沢元代表は不起訴処分です。法律のプロ中のプロである仙谷代行が起訴猶予だと思っておられたということは、執行部の処分案は事実誤認に基づいている。再検討する必要がある」
仙谷氏が黙り込むと、マズイと思ったか、執行部派から突然、緊急動議が出され、怒号の中で小沢氏への党員資格停止処分方針が強行採決された。「法律のプロ」である弁護士議員の仙谷氏は、事実誤認のまま賛成した。
※週刊ポスト2011年3月4日号