女子会にレディースデー、大学も女性優先枠と広がる“女尊男卑”。そんな風潮に過激に“闘争”している男たちがいる。
いまでは当たり前のようになっている鉄道各社の「女性専用車」。これを「男性差別」だとして抗議すべく、「女性専用車両に反対する会」が結成され、激しいバトルを繰り広げている。
国土交通省鉄道業務政策課によると、「女性専用車はお客様の任意の協力で成り立っている」。そこで彼らは法的な拘束力がない任意協力を拒否して、女性専用車に乗る「任意確認乗車」を続けているのだ。記者は3月3日に行なわれた「乗車会」を取材した。
夕方の帰宅ラッシュで混雑する東急電鉄東横線のホームで、会の面々は、足元に「女性専用車停車位置」と書かれたピンク色の表示から連なる女性の列に並んだ。
この瞬間から、周囲の女性客のいぶかしむ視線が感じられたが、彼らは意に介さず「女性専用車」に乗車。女性客から「ここ女性専用車じゃなかったっけ?」「男の人も乗れるんだ」との小さな話し声が聞こえるなか、ついに近くにいた初老の女性客が「女性専用車」の表示を指差しながら、「これわかっていて乗車されているんですか?」と注意してきた。
すると会員は、「わかっています。国も任意によるものだと認めていますので、乗車してます」と返答。女性はそうですか、というものの、いまいち腑に落ちない様子だった。
このような地道な活動を続ける彼らだが、過激な“闘争”ゆえのトラブルも。
今年2月15日、彼らが「あけぼの強制排除事件」と呼ぶ事件が勃発した。JR東日本が運行する上野発青森行きの寝台列車「あけぼの」には女性専用車「レディースゴロンとシート」が併結されている。9両編成中、1両が普通特急料金で利用できる簡易寝台の女性専用車になっているのだ。
「反対する会」と有志の男性8名が、抗議行動としてその車両への乗車を試みたところ、駅員をはじめJR東日本社員ら30人以上が人間バリケードをつくり、乗車を阻止。警察も出動する騒ぎとなったのだ(JR東日本は「一般の女性専用車はお客様のご協力により成り立っておりますが、『レディースゴロンとシート』は女性のお客様のみの商品として運送条件を設定して販売しており、時刻表でのご案内、駅社員によるご説明を行なっております」と述べている)。
※週刊ポスト2011年3月25日号