台本のない生放送には不測の事態がつきものである。とはいえ被災者の神経を逆なでする「失言」は頂けない。
矢のような批判を受けたのは、3月14日の『スッキリ!!』(日本テレビ系)で、気仙沼市から中継した大竹真レポーター(39)。カメラとマイクが自分に切り替わっていることに気がつかず、津波によって変わり果てた市街地をバックに、「ほんっと~に面白いね~」 と話しながらニタニタ笑っている様子が映し出されたのだ。
フジテレビもやらかしている。3月12日夜の菅首相の会見中「ふざけんなよ、また原発の話なんだろ、どうせ」という男性の声や「アハハ、笑えてきた~」といった女性の声が漏れ聞こえてきたのである。
上智大学新聞学科教授(メディア論)の碓井広義氏が指摘する。
「NHKが取材力を活かして被災者のための情報を流しているのと比較すると、民放はどうしても“被災地以外の人々”に向けての報道という印象がぬぐえない。それはややもすると、傍観者的でもあり、興味本位と受け取られかねないということです。
災害報道の本質は、面白ければよいという視聴率競争とは全く意味合いが違う。特殊な状況で、取材の現場が疲労困憊なのは理解できるが、だからこそ失言や放送事故には細心の注意を払うべきです」
ちなみに、大竹レポーターは失言の翌日以降、テレビ画面から消えている
※週刊ポスト2011年4月1日号