パニックから「買いだめ」の懸念が高まっている。家庭で浮き足立つ家人をどう諫めるのがよいのか。大人力コラムニストの石原壮一郎さんから寄稿してもらった。
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不測の事態が起きたときの慌て方や不安の強さは、人それぞれ。妻が買いだめに走ろうとしていたり「今すぐ東京を離れましょ!」と慌てているときに、「冷静になりなよ」と言っても効果はないでしょう。相手は誰もが自分と同じぐらいの不安を抱えていると信じているので「どうして無理に冷静になろうとするの!」と、余計に慌てるだけです。
原発の件で、あわてて東京を離れていったインテリ文化人の方々もそうでしたね。怖いなら勝手に行けばいいのに、屁理屈を駆使して自分の不安を必死で正当化しようとしていました。不安を感じないヤツは頭が悪いみたいな言い方で、自分の感じている不安を遠慮なく垂れ流しながら……。インテリ文化人のひ弱さを見せつけてもらいました。
今こそ、大人力の包容力の出番。まずは「不安だよね。心配だよね」と共感して、ちょっと落ち着いてもらいましょう。その上で、買いだめの場合は、「何か月先のトイレの心配をしてるの?」「それだけの食糧を全部食べつくす必要があるのは、どういう状況なの?」と尋ねて無意味さに気づかせます。
さらに、「その分で募金したほうがいいよ」と提案してみましょう。「何かしなきゃ」という焦りのもっていきどころが見つかれば、奥様の心も安らぐのではないでしょうか。
「疎開」の場合はノンキな口調で、「パニック映画だと、真っ先に逃げるヤツは助からないんだよね」と言って、「この人とこれ以上話しても無駄かも」と思わせるといいかも。
こちらも同様に、「その分で募金したほうがいいよ」と提案すれば、少しは落ち着いてくれるはず。
家庭の中でも、世界に賞賛されている「日本人の冷静さ」を発揮して、無用の混乱を抑えたいものです。