未曽有の大災害となった東北関東大震災だが、国としての対応はどうだったのだろうか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、以下のように指摘する。
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国民を守るための力を持つ組織はどうだったでしょうか。自衛隊は総隊員数約24万人のうち半数近い10万人が投入され、さらに史上初めて予備自衛官が招集されました。
民主党政権は仙谷由人前官房長官が自衛隊を「暴力装置」と呼び、蓮舫氏の事業仕分けでは自衛隊予算をバッサリ切って、隊員の数も減らしました。しかし救助や復旧作業に当たる自衛隊員たちは予算不足による不充分な装備にもかかわらず、懸命に、そして黙々と人命救助や復興作業に当たっています。
消防隊も被曝覚悟で原発にギリギリの距離まで接近し、放水作業を行いました。その彼らに向かって「いうことを聞かなければ処分する」といったとされる海江田万里経済産業相(62)の心得違いには呆れるばかりです。警察も国民を守るために命懸けで奔走しました。最後まで避難を呼びかけて自らの命を落とした警察官も大勢います。
日本人の心と技術、懸命に働く人々がいる一方で際立つのが、菅政権の対応のまずさです。菅直人総理(64)も枝野幸男官房長官(46)も個人としては一所懸命働いているつもりでしょう。しかし、総理大臣として、官房長官としては機能していないのです。
菅首相が設置した緊急災害対策本部は、法的に“経済戒厳令”といわれるほど首相に強い権限を与えています。首相の決断ひとつで物流も大きく変えることができますが、菅氏は何もせず、被災地にガソリンや物資が届かないという事態を放置していました。きちんと対応していれば買い占め騒ぎも起こらなかった可能性があります。
原発事故に関する情報発信も、「(食べても)直ちに人体に危険はない」といいながら農産物を出荷停止にするなど矛盾だらけで、多大な風評被害をもたらしています。
有体にいえば、日本政府はおよそ政府の体をなしてはいないのです。
※女性セブン2011年4月14日号