原発事故が深刻化する中で雲隠れした原発官僚がいる。今年1月に資源エネルギー庁長官から東京電力の顧問に天下った石田徹氏だ。
東電は「個人情報だから」との理由で報酬を明らかにしていないが、「天下りの不文律として、退官直前と同額程度(年収約1860万円)が払われている」(経産省幹部)とされる。しかも、「ほとぼりが冷めた頃に副社長に昇格する予定」(東電関係者)という。
その動静は一切出てこない。経産省中堅が明かす。
「石田さんが表立って動くと、経産省は“天下りがいるから東電に甘い”と批判されかねない。そこで、石田さんは経産省の上層部に電話し、東電の首脳に経産省の意向を伝える連絡役に徹している。石田さんの役割は、東電の支払う賠償額を出来るだけ減らすことにある」
東電の経営が傾けば、経産省は特Aクラスの天下り先を失う。石田氏と経産省の関心はそこにしかないのか。
経産省を中心に政府が拠出する原子力予算は年間約8370億円(2011年度概算要求額)。そこに原子力安全基盤機構、日本原子力文化振興財団など数多くの天下り法人もぶら下がっている。現役・OBを問わず原発官僚の責任も厳しく追及されるべきだ。
※週刊ポスト2011年4月15日号