本来、生存者を探して救助するのが救助犬の役目。しかし、今回の東日本大震災では残念ながら別のものになってしまった。民間の災害救助犬・レイラとともに被災地の岩手・大船渡市に救助に行った災害救助犬の調教師・村田忍さん(39)はこう話す。
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レイラは生きている人を発見したら、大喜びでうれしそうに吠え、早く見つけて!とばかりにこちらへ駆け寄ってきたりします。亡くなっている場合は、私のほうを振り向いて哀しい目つきをするんです。調教師はそんな犬の表情やしぐさを読み取っていくんです。でもあのとき、レイラは次から次へと、ここにも、ここにも、と哀しい目をするんです。
「レイラ! そんなにあるわけないでしょ。もうろくしちゃったの? 真面目にやりなさい!」って私は3回も叱りつけてしまったくらいなんです。
私たちが1日歩いた場所だけでもレイラは150回も反応し、私はそこに旗を立てて進んでいきました。その旗の立っているところを、自衛隊員のかたがたが捜索していくのですが、実際、旗を立てたところすべてから遺体が発見されたそうです。
一刻一秒でも急げば、生存者が発見できるかもしれないと私たちは早く早くと前へ突き進んでいきました。はっと振り返ると、自衛隊員ははるか後方にいました。それを見たときに我に返り、ゾッとする思いでした。遺体が多すぎて収容する作業がついてこられなかったのです。
※女性セブン2011年4月21日号