新聞も含めて、原発報道に関わる多くの記者は科学の知識が乏しい。
「それは当然だ。だって霞が関の記者クラブ所属だったり、社会部の遊軍記者だったりで、たまに科学部が混ざっていても、しょせん理工系の学部を出ているだけ、というレベルですから」(全国紙記者)
当初、原子力安全・保安院で会見を担当した中村幸一郎・審議官は、東大工学部出身の技術キャリアだったが、その専門知識ゆえに記者に嫌われた。「中村審議官が専門知識を駆使して詳しく話すと、記者たちから『わかんねーよ』『シーベルトって何だよ』と文句が出た」(別の記者)
彼らは普段、「説明されたまま書く」ことしかしないから、自分で調べて書く技術も意欲もないのである。
それどころか、「中村審議官にかわって会見することになった西山英彦・審議官について、“カツラじゃないか”というのが記者たちの最大の関心だった。別の省にいる親族にまで“取材”が殺到していた」(某省キャリア官僚)
こんな連中だから「基準の○万倍」「汚染水×万トン」と、“スゴそうな数字”を追いかける報道に終始する。
※週刊ポスト2011年4月22日号