経営コンサルタントの大前研一氏に高校2年生になる娘を持つ40代会社員からこんな質問が来た。「本人は海外の大学への留学を希望しているのですが、帰国後の就職先探しでは日本の大学を出た人よりも苦労するという話も聞きます。帰国せずに現地で仕事を見つけるのも手だと思いますが、本人は帰国して留学経験を生かせる仕事に就きたいと思っているようです。アドバイスいただければ幸いです」。以下、大前氏による回答だ。
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相談者の娘さんが、語学留学でなく4年制大学を志望していて、必要な英語力の条件(TOEFLなど)をクリアすることを前提に考えると、費用対効果の点で、アメリカなどの先進国よりもインドネシア、ベトナム、中国、インドなどアジアの新興国の大学に留学したほうがいいだろうな。
経済成長が著しく、日本企業もようやく市場攻略に本腰を入れ始めた新興国だけに、4 年間も現地の若者と競い合いながら勉強し、言葉や文化を体得しているとなれば、日本企業はもちろん、どこの国の企業でも欲しいと思うはずだよ。僕ならそれだけで採用するな。
ただし、どこの国であれ、二流大学に留学したら何の意味もない。留学を認める際には、現地の一流大学のみ、という条件は課すべきだろうね。
※週刊ポスト2011年4月22日号