震災後、水や電池、トイレットペーパーなど不足する生活物資がネット上で法外な値段で売買されたが、最近多数出品されているのが津波で水没した自動車だ。
「水没車はサビやすく、臭いもキツい。エンジンがかからない車も多く、ほとんどが部品取り用です。業者間のオークションではあまり買い手がつかないため、一般向けのネットオークションに出品される」(ある中古車業者)
ヤフーオークションを覗くと、軽自動車からセルシオ、レクサスなど高級車までラインアップは幅広い。価格は車の程度によって1円~数十万円までピンキリだ。ほとんどの出品者が業者と思われる。水没車の処理に困り、現金化を急ぐ所有者が業者に依頼しているケースが多いようだ。問い合わせも殺到しているようで、「問い合わせ対応が1日5時間程度になり、車を探す時間が少なくなってきてます」と書き込む出品者もいる。
しかし中には所有者不明の車を被災地から勝手に持ち運んだ疑いのある怪しい出品も。「流通していた盗難車が中部地方で見つかったという話もある」(自動車雑誌記者)という。“火事場泥棒”が車両にまで及んでいる可能性もある。
本来、所有者不明の水没車は災害廃棄物として市町村が事業主体となって回収する。
「自治体が専門業者に依頼するか、もしくは自衛隊の協力を仰いで回収し、保管場所に移動します。ナンバープレートなどから所有者を探す努力をしたうえで、見つからなければ自治体登録の業者が引き取る形で処分します」(環境省企画課リサイクル推進室)
※週刊ポスト2011年4月22日号