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孫正義氏「原発の発電コストは一番安い」説に疑問抱く

ソフトバンク社長・孫正義氏の「志」に迫った本誌連載『あんぽん孫正義伝』。連載終了と同時に日本を国難が襲った。孫氏は次々と被災者支援を打ち出す。以下は、『あんぽん』筆者の佐野眞一氏(ノンフィクション作家)と孫氏の一問一答である。

* * *
――原発のほうが安価だというのが、これまでの政府や東京電力の説明でした。だが、今回の原発事故で、その論理は脆くも崩れた。

「エネルギー別の発電コストは原子力が5~6円と一番安いことになっているけれども本当なのか。オーバートークじゃないのか、と。交付金などの原子力関係予算や核廃棄物処理コスト、そして事故対策費などの追加コストを考えれば、一番高く付くのは原発でしょう。現に米国では、昨年、原発と太陽光発電のコストが逆転したそうです」

――具体的には、太陽光発電による電力の全量買い取り制度を提言していますね。

「ヨーロッパでは20年以上も前に、太陽光など自然エネルギーで発電した電力を1キロワットあたり40円以上で全量買い取りを始めている。それも買い取り期間を20年以上と定めているから、設備投資のリスクも低い。それで自然エネルギー発電が一気に増えました。ところが日本はまだはっきり決まっていない。

だからキーワードは20年と40円。この2つをはっきり定めれば、企業、自治体が競って自然エネルギーの導入を始めると思います。これによって、現在、1世帯あたり平均8000円の電気料金が一時的に500円程度高くなります。しかし、それで安心と安全が買えるんです」

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

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