放射能汚染はついに人体にまではっきりと表れた。しかもそれが「母乳」だったから、衝撃は大きかった。市民団体『母乳調査・母子支援ネットワーク』は4月21日、千葉県と茨城県在住の女性4人の母乳から放射性ヨウ素が検出されたことを発表した。
同団体は、代表・村上喜久子氏が原乳から放射性物質が検出されたという3月19日のニュースを見て、「母乳から出てもおかしくない」と思い、設立したもの。知人や生活協同組合を通じて、福島県、茨城県、千葉県に住む女性9人から母乳の提供を受け、専門機関で検査を行ったところ、4人から放射性ヨウ素が検出された。
茨城県つくば市に住むAさんとBさん、守谷市に住むCさんと千葉県柏市に住むDさんだった。このうち、もっとも高い数値が出たのはDさんで、1kgあたり36.3ベクレルだった。乳幼児が摂取する飲用水の暫定規制値は1kgあたり100ベクレル。だが、村上さんはこう話す。
「36.3ベクレルという数値とはいえ、母乳から出るのですから、決して低いとはいえません。母乳からは放射性物質など絶対に出てはいけないんです。しかも今回は、福島原発に近い、放射能汚染の高いエリアのかたは検査していないんです。千葉県のかたでこの数値が出たということに驚いてしまいました」
環境放射能に詳しい北里大学獣医学部教授の伊藤伸彦氏もこう指摘する。
「量的には問題ない数値といいますが、お母さんの母乳から検出されること自体が問題です。通常なら当然ありえないことですから」
※女性セブン2011年5月12日・19日号