震災から約2か月、避難している被災者たちはストレスも溜まり、そのやり場を見つけられないでいる。結果として行政に対してクレーマーのようになってしまう被災者の姿も、目につき始めている。
宮城県のある自治体では、被災者に自転車の貸し出しをはじめた。自転車は買い物など用に短期で貸し出す決まりだが、ある中年男性が「3か月ほど借りていたい」といい出した。それは無理だというと、役人の胸ぐらにつかみかかってきたというのだ。
「車を買うからカネをよこせ」「内風呂のある部屋じゃなきゃ嫌だ」――こうした一部被災者の無理難題には、行政側も困惑気味である。
岩手県大船渡市職員はこう語る。
「支給する靴のメーカーを指定してくるなど、要望が細かくなってきている。時には強い口調で『我々は避難民なんだから行政は応じるのが当たり前だ』とおっしゃる被災者の方もおります」
宮城県亘理町職員もこんな事例を紹介する。
「仮設住宅は抽選ですが、先日、申請にこられた方が障害者の方で、障害者手帳をこちらに突きつけながら『何で優先的に入れないのか』と怒鳴られまして。そんな時は、私も家が流されたので、というと少し落ち着いてくださいます」
※週刊ポスト2011年5月20日号