新学期や入社の時期が過ぎ、そろそろ緊張がほぐれるころなのに、無気力で勉強や仕事に身がはいらない、集中力がない、強く疲労を感じる、朝、起きられない、眠れないなど…。このような症状が出てきたら、「五月病」のサインかもしれません。そこで、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・脳評論家の澤口俊之氏が五月病の克服法を教えてくれた。
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新しい環境への適応能力は18~20才がピークです。大学の新入生や新入社員が五月病になるのは本来ならおかしなことなのです。また、中高齢者であっても、生物学的に適応能力を維持しているはずですから、人事異動や転勤、引っ越しなどで五月病になるのも、やはりおかしなことなのです。
それでも人間がそうなってしまうのは、「新しい環境への適応能力」が低いためであることが脳科学的に証明されています。専門的にはこの能力を「流動性知能」といいます。
そして流動性知能に深く関係しているのがドーパミンです。ドーパミンが多い多動性傾向の人には五月病など無縁です。むしろ、新しい環境を面白がって探索しまくり、生き生きして、とても元気になります。このような人は、むしろ、退屈や変化しない日常で落ち込みます。
一方、流動性知能が低い人は五月病になりやすく、悪化するとドロップアウトし、引きこもってしまう場合もあります。私の調査では、一流企業にはいってから1年以内にドロップアウトして、いわゆるニートになる新入社員が30~40%もいます。そうした社員に共通しているのは流動性知能の低さです。
五月病にならないためには、幼児期に探索行動をたくさんして流動性知能を伸ばしておくことが鍵になります。とはいえ、流動性知能は成人でも伸ばせますから、五月病の克服法は、
1.夢や目標をしっかりと持ち、それに向けて少しでもいいから努力する。
2.いろいろなことを建設的に批判する訓練をする。
このふたつの方法で、流動性知能も、ドーパミン系もある程度、発達させることができます。また、探索的に体を使う運動をするだけでも多少の効果は望めるので、晴れた日に山や野原で昆虫や花などを調べながらハイキングをしたり、広々とした青い空を見上げて将来の楽しい状態を思い浮かべるなどもよいでしょう。
※女性セブン2011年5月26日号