国内

東電・勝俣会長は知名度のない清水社長を傀儡扱いしていた

 福島原発事故では社長と会長が入れ替わり立ち替わり出ては、「どっちがリーダーなのだ…」と混乱する向きもあったのでは? 東京電力の歴代社長を調べると、清水正孝社長の置かれた立場が見えてくる。ここ30年で資材部出身は清水社長一人で、他は総務部や企画部出身が占めている。

 経済ジャーナリストの町田徹氏が指摘する。

「東電はこれまで永田町や霞が関で顔が利き、総会屋対策に長けた総務畑や企画部門出身者が代々社長を務めてきた。(会長の)勝俣恒久氏も企画部出身で、歯に衣きせぬ物言いをするといわれています。

 しかし、勝俣氏は柏崎刈羽原子力発電所の運転再開の目途が立たない責任をとり、志半ばで社長を退いた。そこで後継に資材部出身で知名度のない清水氏を選んで院政を敷きました。その清水氏に有事の指揮など論外。無論、その原因を作った勝俣氏のリスクマネジメントも期待できません」

 清水社長は4月7日に現場に復帰した。避難民への土下座行脚に努めているが、混乱収拾には至っていない。

 産能大学客員教授で、『経営者の条件』の著者である大沢武志氏がこう嘆息した。

「社長も会長もリーダーシップを発揮できない。裏を返せば社業で何の役割もなかったから。東電はいわば国策で事業も決まるし経営者として決断する場面もない。

 出世に伴い地位や名誉だけを獲得していった。ただ、最近は純粋な民間企業でも実行力と責任感のないトップが多く、トラブル時には組織の脆弱さを露呈してしまう」

※週刊ポスト2011年5月27日号

関連キーワード

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン