12日、ようやく東京電力は否定し続けていた1号機の「メルトダウン」を認めた。事故収束への工程表も発表され、危険は去ったと思っていた福島原発だが、まだまだ明らかにされていないことは多い。しかも現在、1号機、2号機、3号機ともに深刻な事態を迎えている。
東芝で30年にわたり原子炉の設計に従事した吉岡律夫さんはこう見解を示す。
「2号機は圧力抑制室で水素爆発したので、放射性物質の流出はいちばんひどい。さらに心配されるのが、3号機です」
3号機は現在、圧力容器の温度が不安定な状態となっている。4月中は110度前後で安定していたが、5月7日には200度を超えた。5月16日の早朝には141.3度に下がったが、依然200度以上の高温の場所があり、不安定な状態が続いている。
東京電力は、3号機で再臨界が起きないようにホウ酸の注入を15日から始めた。京都大学原子炉実験所・小出裕章助教は、3号機では実はこんな危険な状態が起こり得るという。
「もし燃料がまだ圧力容器に残っている状態で、給水作業が何らかのトラブルで止まってしまった場合、水蒸気爆発が起こる恐れがあります」
水蒸気爆発とは、溶けた燃料が大量に冷たい水にふれることで急激に蒸発して飛び散るように爆発する現象。
「もし水蒸気爆発が起きてしまうと、セシウムなどの放射性物質が爆風によって、いまとは比べものにならないほど大量に飛散してしまうでしょう」(小出助教)
※女性セブン2011年6月2日号