公務員の給与カットに乗じた賃下げの懸念が広まる一方、増税が待ち受ける中で、政府は低年金・無年金者に“やさしい”という触れ込みの年金改革案を近く発表する。
新制度は、年金保険料を納めていない人にも税金から「月額7万円」の最低保障年金を支払うというものだが、「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が、そこに隠された罠を指摘する。
「この改革案は将来の支給額を減らしたうえに、年金財源のために増税することが本当の狙いです。最低保障年金は、現役時代の年収600万円以上の人には1円も支給されないから年金額が月7万円減る。
また、支給開始は40年後だから30歳以上の人は新制度の対象外のはずですが、増税分はしっかり負担させられることになるわけです」
なんと、現役世代の大半が負担だけを強いられ、しかも中堅以上のサラリーマンは支給額カットまでされるというシロモノなのだ。
厚労省は新制度のために必要な税金は消費税3.5%分と試算しており、9兆円近い増税になる。
国民にとっては復興増税に社会保障増税が加算されるダブルパンチだ。
※週刊ポスト2011年6月3日号