おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』や週刊ポスト連載をまとめた『アメリカなう。』などがある。おぐに氏によると、ワシントンDC界隈にいる日本人駐在妻の髪型には、ある特徴があるそうだ。
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今回は、このナゾに迫ろう。「ワシントンDC界隈にいる日本人駐在妻の髪形には、なぜセミロングやロングヘアが多いのか?」。長い黒髪の魅力をアピールしたいから? いいえ、たぶん、違う。「ショートヘアだと頻繁に髪を切らなきゃいけないから」じゃないかな、きっと。
駐在妻はよく嘆く。「満足できるヘアサロンやスタイリストが見つからないの~。英語じゃ細かいニュアンスも伝えられないし、いつも変な髪形にされちゃう」。結局、ヘアサロンから足が遠のき、気付けばセミロングやロングヘアになっているのだ。中には、年に一度の日本帰国のときにしか髪を切らない“ツワモノ”までいるもんね。
DCやその郊外には、日本人による日本人対象の店やサービスがほとんどない。でも日本の食材や、日本語のレンタルDVDなら、韓国系のお店でも十分事足りる。ところが、韓国系や中国系のサービスじゃ満足しきれず、最後まで困るのが、「女の髪」なのよねえ。
アジア人の髪質は似ている。だから私も、これまで中国人や韓国人のスタイリストを渡り歩いてきた。ある時は「おサルさん」にされ、ある時は刈り上げにされ……。去年暮れの一時帰国で、3年ぶりに日本のスタイリストさんにお願いしたら、彼女は私の髪を触って、絶句したよ。「かわいそうに。こんなとこまで、前髪にされちゃって」。
※週刊ポスト2011年6月3日号