国内

HIV感染者 20%は50代以上、最高齢は男性82歳、女性70歳

 エイズが医学的に認知された1980年代初頭から1990年代に比べると大きく報道されることはなくなったが、日本では確実に感染者が増えている。既にエイズ患者とHIV感染者の合計数は1万8000人を超える。

「2008年まではHIV検査を受ける人が増加したのに比例して感染者数も増えていた。2009年は検査数が減少したのに伴って感染者数も減少。ところが昨年は、検査数が減っているにもかかわらず、感染者数が増えた。これは、人口全体に占める感染者の割合が増えているからだと考えられます」(厚生労働省疾病対策課担当者)

 また、日本においては「同性愛者の病気」「海外で買春してもらってくる」といったイメージが強かったが、それは過去のもの。近年では新規判明者のうち同性愛者の占める割合は5割ほどに減っている。また、数の上では海外ではなく国内での感染が圧倒的に多いのだ。

 そして今回判明した調査結果でとりわけ顕著なのは、感染者の“高齢化”が進んでいることだという。

「昨年のデータでは、40代以上とともに60代以上の新規感染者数が増えています。例えば、熱が出るなど体調が悪いため、風邪かと思って病院に行き、“念のため”ということでHIV検査を受けて感染が見つかったり、なかにはカポジ肉腫やカリニ肺炎が発症してから、エイズを発症していることがわかったケースもあります」(同前)

 感染者の高齢化は、現場の医師らも実感している。独立行政法人国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センターの本田美和子医師がいう。

「当院では3000人あまりの患者さんを診ていますが、その5人に1人は50代以上。現実問題として、エイズは決して若い人の病気ではありません。診断時の最高齢は男性で82歳、女性でも70歳を過ぎた方が通院中です」

 しかも、高齢者の潜在的な感染者は相当数いると見られている。

「日本ではそもそもHIVの検査数自体が欧米に比べて格段に少ない。それでも若い人たちの場合は、つき合い始めたカップルが“ラブチェック”として一緒に検査を受けることが珍しくないのですが、中高年は検査にはほとんどいかない。実際の感染者はずっと多いのでは」(前出・厚労省疾病対策課担当者)

※週刊ポスト2011年6月10日号

関連キーワード

トピックス

公選法違反で逮捕された田淵容疑者(左)。右は女性スタッフ
「猫耳のカチューシャはマストで」「ガンガンバズらせようよ」選挙法違反で逮捕の医師らが女性スタッフの前でノリノリで行なっていた“奇行”の数々 「クリニックの前に警察がいる」と慌てふためいて…【半ケツビラ配り】
NEWSポストセブン
「ホワイトハウス表敬訪問」問題で悩まされる大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平を悩ます、優勝チームの「ホワイトハウス表敬訪問」問題 トランプ氏と対面となれば辞退する同僚が続出か 外交問題に発展する最悪シナリオも
女性セブン
日本一奪還に必要な補強?それともかつての“欲しい欲しい病”の再発?(時事通信フォト)
《FA大型補強に向け札束攻勢》阿部・巨人の“FA欲しい欲しい病”再発を懸念するOBたち「若い芽を摘む」「ビジョンが見えない」
週刊ポスト
2025年にはデビュー40周年を控える磯野貴理子
《1円玉の小銭持ち歩く磯野貴理子》24歳年下元夫と暮らした「愛の巣」に今もこだわる理由、還暦直前に超高級マンションのローンを完済「いまは仕事もマイペースで幸せです」
NEWSポストセブン
ボランティア女性の服装について話した田淵氏(左、右は女性のXより引用)
《“半ケツビラ配り”で話題》「いればいるほど得だからね~」選挙運動員に時給1500円約束 公職選挙法で逮捕された医師らが若い女性スタッフに行なっていた“呆れた指導”
NEWSポストセブン
傷害致死容疑などで逮捕された川村葉音容疑者(20)、八木原亜麻容疑者(20)、(インスタグラムより)
【北海道大学生殺害】交際相手の女子大生を知る人物は「周りの人がいなかったらここまでなってない…」“みんなから尊敬されていた”被害者を悼む声
NEWSポストセブン
医療機関から出てくるNumber_iの平野紫耀と神宮寺勇太
《走り続けた再デビューの1年》Number_i、仕事の間隙を縫って3人揃って医療機関へメンテナンス 徹底した体調管理のもと大忙しの年末へ
女性セブン
チャンネル登録者数が200万人の人気YouTuber【素潜り漁師】マサル
《チャンネル登録者数200万人》YouTuber素潜り漁師マサル、暴行事件受けて知人女性とトラブル「実名と写真を公開」「反社とのつながりを喧伝」
NEWSポストセブン
白鵬(右)の引退試合にも登場した甥のムンフイデレ(時事通信フォト)
元横綱・白鵬の宮城野親方 弟子のいじめ問題での部屋閉鎖が長引き“期待の甥っ子”ら新弟子候補たちは入門できず宙ぶらりん状態
週刊ポスト
大谷(時事通信フォト)のシーズンを支え続けた真美子夫人(AFLO)
《真美子さんのサポートも》大谷翔平の新通訳候補に急浮上した“新たな日本人女性”の存在「子育て経験」「犬」「バスケ」の共通点
NEWSポストセブン
自身のInstagramで離婚を発表した菊川怜
《離婚で好感度ダウンは過去のこと》資産400億円実業家と離婚の菊川怜もバラエティーで脚光浴びるのは確実か ママタレが離婚後も活躍する条件は「経済力と学歴」 
NEWSポストセブン
被告人質問を受けた須藤被告
《タワマンに引越し、ハーレーダビッドソンを購入》須藤早貴被告が“7000万円の役員報酬”で送った浪費生活【紀州のドン・ファン公判】
NEWSポストセブン