ファミリーレストランや牛丼チェーン、ランチ営業の定食店のみそ汁が、最近うまくなったことにお気づきだろうか。その秘密は「みそ汁マシン」。給茶器のような、ボタンを押すと「ジャーッ」と出てくるあのマシンだ。作りたてのみそ汁のうまさに注目し、開発されたマシンが外食産業で評価されている。「みそ汁マシン」のけん引役、マルコメ広報担当の須田信広さんは語る。
「ここ40年間で日本人一人当たりの年間みそ購入量は4kgから2kgに激減しています。パン食などが普及することにより、日本の伝統的な食生活の機会が減っているんです。ただ、マルコメは『みそ屋』ですから、皆さんにおいしいみそ汁を飲んでいただきたい、それでマシンを開発しました」
そもそも「うまいみそ汁」とは何だろう。料理研究家の藤野嘉子さんはこう語る。
「ポイントは2つです。飲めるだけの分量を作って、できたてを飲むこと。みそを入れてから煮立てないこと。もともとみそ汁は日本古来のインスタント食でした。旬の材料を使って、ささっと作れるものです」
なるほど。定食屋のありがちな間違いは、大鍋でみそ汁を作ることだが、これは家庭でも同じ。
「時間を置いて加熱を繰り返すと、風味はなくなり、汁はどす黒く、酸っぱく苦くなってしまいます。夜に多めに作ったみそ汁を、朝温めなおして出すというのではだめですね。おいしいみそ汁を作りたかったら、みそは食べる寸前に入れていただきたいんです」(藤野さん)
※週刊ポスト2011年6月17日号