過熱するスマートフォン市場で人気を二分しているのが、iPhoneとAndroid端末。一見似ているように見えるが、実際の使用感や特徴はどちらを選ぶかで、かなり異なってくる。iPhoneの利点とは何か? また、iPhone派のエキスパートはAndroidのどこにデメリットがあると考えるのか?
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iPhoneはMacやiPodで有名なアップル社が開発したスマートフォンだ。幅広い層にスマートフォンを普及させるきっかけを作った端末であり、単一機種としては圧倒的な販売数を誇る。
元『MAC LIFE』編集長で、現在は『OnDeck』という電子雑誌でIT最前線に取り組んでいる高木利弘氏が語る。
「その魅力はなんといっても完成度の高い操作性とデザイン。よく“直感的”といわれるように、触れたことがなくても操作方法がなんとなく分かる作りが心憎い。画面を動かす感覚も、非常に滑らかです」
初めてAndroidを搭載した端末が発売されたのが2008年10月であるのに対し、初代iPhoneは2007年6月に発売しており、「1年以上多く蓄積したノウハウではiPhoneに分があるのは当然。アップルはMacやiPodで培ったノウハウもiPhoneにしっかりと凝縮している」(同前)
高木氏はiPhoneのメリットとして、「操作がわかりやすい」ことを挙げる。
「iPhoneはシンプルな操作性に徹底的にこだわっている。前面ボタンはたった1つしかないので、全く迷う必要がない。操作していて、何か分からないことがあったら、ともかくこのボタンを押して、最初からやり直せばいい」(高木氏)
また、アプリが豊富で高品質な点も利点だ。Androidよりも先行しているだけあって、アプリの豊富さではiPhoneが上なのである。すべてのアプリがアップル社の厳しい審査を経るため、一定の品質が保たれているのも魅力。また、専用ソフトでデータ管理がカンタンなのも利点。パソコンに保存してある音楽、写真、動画、連絡先などのデータとは、専用ソフトの「iTunes」を使えば簡単に同期・管理できる。
さらに、月額使用料が安いところも利点だ。意外にも、iPhoneは最も月額固定費が安いスマートフォンでもある。ソフトバンクの専用プランでは、パケットし放題のプランでも月額5705円から利用可能なのである。
またiPhone派である高木氏はAndroidの弱点として、「操作性に統一感がなく、使い勝手もイマイチ」な点を挙げる。Androidは基本的に3つの前面ボタン(ホーム/メニュー/戻る)を備えているのが特徴だが、「これが操作の複雑さを招いている。メニューボタンを開かないと操作できないアプリが多い」(高木氏)
さらには、コンピューターウイルスの標的になることも心配だという。というのも、iPhoneと違って、アプリを審査無しに公開することができるため、審査の厳しいアップルと違い、不正なプログラムを忍ばせたアプリが流通しやすい。Androidを狙ったコンピューターウイルスの数は昨年の5種が、今年に入って57種と急増、すでにセキュリティ対策の団体も発足している。個人情報を盗まれたり、遠隔操作されないためにも自己防衛が必要なのだ。高木氏は「スマートフォンとしての完成度が高い」とiPhoneを総括している。
※週刊ポスト2011年6月17日号