夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は酒造メーカー勤務のご主人(32歳)からの報告。奥様(46歳)とは年齢差14歳です。
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この前、女房と息子(20歳)の3人で家族旅行した時も、旅館の仲居さんが「この人たち、どんな関係?」といった表情をしていました。女房と息子は僕を「先生」と呼び、僕は女房を「お母さん」、息子を「くん」付けで呼ぶわけですから、「この人たち、親子と聞いたけど、何なの?」と混乱しますよね。
シングルマザーだった女房と知り合ったのは僕が大学生の時。当時、小学生だったKくんの家庭教師として通い始め、それが縁で5年後、結婚したんです。ただ、女房が「結婚したからって急に『アナタ』って呼ぶのも息子の手前、気後れしちゃうわ。息子も『パパ』って呼びづらいと思うし、これまでの『先生』でいい?」と聞くので、「僕も照れくさくて『お前』なんて呼びにくい。これまで通り『(Kくんの)お母さん』と呼ぶから」となったわけです。
両親は戸惑っていますよ。お袋が遊びに来ていて、僕が「お母さん」と呼ぶと、お袋と女房が同時に振り向くんですから。息子も、ガールフレンドを自宅に連れてきた時、「先生」「お母さん」と呼び合っている僕たちを見て、「アナタの両親って変!」と指摘されていました。周りからは「『お母さん』はともかく、『先生』は変だ」といわれているので、「どげんかせんといかん!」と思っています。
※週刊ポスト2011年6月17日号