いま、耐震診断を行う各市区町村の相談センターに「わが家は大丈夫か?」という問い合わせが殺到している。
住宅診断を専門とする不動産コンサルタント『さくら事務所』代表取締役社長・長嶋修さんは、「ポイントさえ押さえれば、プロでなくても、ある程度の耐震性はわかる」というが、セルフチェックはあくまで耐震性があるかないかを大まかに把握するためのもの。詳細な診断の結果、工事は必要なしということもある。実際に、建物のどこに危険があり、どの程度改修が必要なのかは、プロである建築士の診断を受けることが不可欠といえる。とりわけマンションの診断はプロでも数日間かかるほど複雑だ。
では、その診断にはいくらかかるのだろうか?
「一般的に木造一戸建てなら2万~5万円、マンションは規模にもよりますが、一戸当たり10万円前後が相場です」(NPO法人・耐震総合安全機構の矢野克巳さん)
1981年以前の建物であれば、各市区町村の助成を受けて無料で実施できることも。そのほか、無料診断を行っている民間業者を利用することもできるが、依頼する場合には注意が必要だという。
「正確に診断するには、壁や床をはがすなどして、普段見えない部分もチェックする必要があります。それを完全に無料というのでは業者は赤字になってしまう。改修工事を行うことを前提にしていて、診断後に"聞いてなかった"とトラブルになるケースが多いですね」(長嶋さん)
診断士の探し方としては各市区町村には耐震診断のための相談窓口があり、そこには「耐震診断士」として認定された建築士や工務店が公表されている。地元の自治体に問い合わせてみよう。そのほか日本建築防災協会(http://www.kenchiku-bos ai.or.jp/)はホームページで、耐震診断・改修を行っている事業所の一覧を掲載。
飛び込みで訪ねてくる業者もあるが、診断技術のない営業マンが営業の一環で行っているケースがほとんど。後々トラブルになりかねないので避けたほうがいい。
最後に、液状化して傾いてしまった家を例に、補修工事がどれくらいかかるのか見てみよう。その場合、硬質ウレタンを床下に注入して家を持ち上げる方法や、基礎下の土を掘り起こしてジャッキアップする方法などで修復することができる。ただし、その補修は大がかりで、一戸建てで1000万円程度かかることも。被害の大きかった浦安市では、最大400万円の補修助成金を給付しているが、それでも経済的負担は重い。
※女性セブン2011年6月30日号