株式市場では原発事故処理に関連する銘柄が物色対象となっている。日本インタビュ新聞社社長で経済評論家の犬丸正寛氏が、原発事故処理関連の注目銘柄としてピックアップするのは、巴工業(東証1部・6309)だ。
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福島原発事故処理における当面の最大の課題は、放射能汚染水の処理である。事故後、45日間を経過した段階で、敷地内外の高濃度汚染水は6万トンに達した。集中廃棄物処理施設は3万トンの汚染水しか収容できず、汚染水は海などに流出している模様。原子炉を冷却する循環型冷却水システムの復旧のメドは立っておらず、汚染水は日々増え続けている状態だ。
放射能汚染水について、東京電力はすでに仏アレバ社に除染を依頼している。しかし、その処理には莫大なコストが必要になるという報道もあり、より低コストかつ迅速に汚染水処理を進めるために、巴工業の遠心分離機が使われる可能性が高いと見ている。
巴工業は、産業用の下水処理などに使われる、「デカンタ型遠心分離機」の国内のトップメーカー。これまで、全国の地方自治体の下水処理施設やし尿処理施設を対象として、数多くの遠心分離機を納入し、官公需に対応してきた実績は十分。特に、大都市圏では、巴工業の世界最大級の横デカンタ型遠心分離機の性能の高さがいかんなく発揮されている。放射能汚染水の除染も可能と見られている。
2011年10月期の営業利益は4.5%の増益で、配当は5円増配の年40円となる見込み。PER(株価収益率)などの指標を見ても、テーマ株としては割安な水準といえるだろう。
※マネーポスト2011年7月号