大震災や政治混迷のなかで、本来なら円が急落してもおかしくないが、円高状況が続いている。この円高をどう投資に活かすべきか。円高を利用した投資といえば、まず浮かぶのは外貨預金だろう。この先、通貨の切り上げが確実視される中国人民元を検証してみよう。
中国の場合、魅力は金利より経済成長だ。いまだ金利は他の新興国通貨より低い。国内の中国銀行の各支店で預金はできるが、1年定期で金利0.45%程度(これでも日本の10倍ではあるが)。高額だと有利な商品もあり、イギリス系銀行のHSBCでは、1000万円以上の金融商品を保有し、40万元(約497万円)以上の預け入れなら金利が3%になる。
ただ、やはり中国元の魅力は成長力だろう。野村アセットマネジメントのシニア・エコノミスト、藤田亜矢子氏はこう語る。
「今後5年間で15%程度の為替差益は見込めると見ています」
もちろん、経済成長や為替変動についてはアナリストによって見方が異なる。どの通貨にもいえることだが、特に中国経済については、近年、楽観論と悲観論が激突しており、慎重な判断が必要になっている。
通貨にも「隠れた良品」がある。藤田氏は、専門誌でもあまり目にしない「メキシコペソ」を推奨する。
「経済も為替もアメリカと連動する傾向が強い。政策金利も4.5%とまずまずです」
国内では楽天銀行がペソ預金を扱っている(1年定期で金利1.36%)。
“経済の千里眼”の異名をとる経済評論家・菅下清廣氏も、ひねり技を紹介する。
「アジアならシンガポールドル、ヨーロッパではスイスフランが良い。どちらの国も日本より成長性と安全性があるので円高のヘッジを期待できます」
※週刊ポスト2011年7月1日号