国内

原発学者に総額8億円 一部民間会社「答える立場にない」

 東京電力・福島第一原発事故の発生直後から、連日テレビに出演し、事故について解説していた多くの学者に対し、この5年で総額約8億円もの「原発マネー」が流れていたことをSAPIOは報じた。カネを出していたのは電力会社、原発メーカー、そして政府。

 資金の名目は「奨学寄付金」「共同研究費」「受託研究費」の3種類がある。

 資金を提供してきた民間企業系は、その理由について本誌にこう回答してきた。以下各社の回答である。

【三菱重工】 総額約1173万円 プラント、新型炉などを開発・製造。締め切りまでに回答なし。 

【ニュークリア・デベロップメント】 総額約9931万円 三菱重工のグループ会社。原子燃料の研究開発などを行なう。締め切りまでに回答なし。

【日立GEニュークリアー・エナジー】 総額180万円 日立が80.01%、GEが19.99%を出資。軽水炉施設の設計・製造・販売などが業務。

「次世代技術開発に評価、助言していただいている。研究助成のための寄付であり、寄付金によって見解が控えめになるといった指摘に関しては答える立場にない」(日立広報・IR部が回答)

【日本核燃料開発】 総額60万円 東芝、日立が50%ずつ株式を保有。核燃料や原子炉を構成する材料の研究・開発を行なう。

「『工学研究のため』の寄付。学術研究の経費、教育・研究のために寄付した」

【東芝電力システム】 総額206万円 東芝の社内カンパニー。原子力発電システムなどによるインフラ整備を行なう。

「小型の高速炉の安全評価手法の第三者レビューをいただいた。一般的な研究費提供に関しお答えする立場にない」(東芝広報室が回答)。

【原子燃料工業】 総額67万円 ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー(東芝子会社)52%、住友電気工業24%、古河電気工業24%が出資。軽水炉用原子燃料の開発・製造など。

「寄付はリターンを求めず、原子力を推進する企業として研究に役立ててもらう性質がある。見直すべきは見直す」

【信越化学工業】 総額50万円 素材メーカー。

「当社は原子力とは無関係。新しい素材開発の過程で、先生のご協力が必要なことがあり、その労力に対しての資金提供」

【ゼネラルエージェンシー】 総額20万円 広告会社。主要取引先は電気事業連合会、東京電力など。

「広告、エネルギー関連の情報誌作成で原稿を依頼し、謝礼について寄付金として大学を通して欲しいという要望を受けた」

【神戸製鋼機械エンジニアリングカンパニー】 総額約575万円 原子力プラント・機器を提供。

「原子力材料に関する専門家として研究を委託。研究は開示請求があれば公開されるもの」

【三菱総合研究所】 総額約788万円 国や原子力事業者に向けたコンサルティングなどを展開。

「原子力発電で使用される材料劣化の評価手法の研究開発などに関して研究を委託した。教授の発言内容を含め弊社が関知するものではなく、コメントをする立場にはない」

※SAPIO 2011年7月20日号

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