ゴールデンタイムの視聴率は下落の一途をたどっている。総世帯視聴率(地上波のテレビ放送を観ている世帯の割合)は、90年代後半には70%あったが、現在は63%台にまで落ち込んでいる。この傾向は3.11の東日本大震災以降、拍車がかかっている。
都内に住む50代のサラリーマンは、会社から帰って観るゴールデンタイムのバラエティ番組が何よりの楽しみだった。ところが最近、テレビの電源をつける気すらしないという。
「震災以降、気が滅入ってテレビ番組どころじゃないという理由もある。でも、それより何より、どのチャンネルをつけてもつまらなくて観る気がおきないんです。少し前までのテレビ番組は、どんなに低俗だとバカにされようが、新たな試みで視聴者を楽しませようという気概にあふれていた。
なのに最近は、お気軽なクイズ番組ばかりで、まったくオリジナリティがない。これじゃ本当にテレビが好きなファンほど、離れていくのも当たり前ですよ」
この男性の苦言は、決してテレビ番組のトレンドがわからない「中年のぼやき」ではない。実は視聴率急落を牽引しているのは、20代の若者たちの「テレビ離れ」なのである。アスキー総合研究所が調べた「各世代の1日のテレビ視聴時間をまとめたデータ」によると、なんと20代男性の13.5%が、テレビを「視聴していない」と答えている。
また、今年に入って発表された「2010年 国民生活時間調査報告書」(NHK放送文化研究所・有効回答者4905人)というアンケートでは、テレビの視聴時間が最も長いのは70歳代で、どの曜日も男女とも1日4時間半以上であるのに対し、10~20歳代の男性の平均視聴時間は1日2時間を切っている。
※週刊ポスト2011年7月15日号