ドイツで開催中のサッカー女子W杯で鮮烈な印象を残した“なでしこジャパン”。世界ランキング4位にまでなった日本の女子サッカーを率いる絶対的エースが澤穂希選手(32)だ。
澤にとって現在までの道のりは決して平坦なものではなかった。女の子であることから、「全日本少年サッカー大会」への出場を許されず、性別の壁に打ちのめされたこともあった。女の子であることに苦悩した澤だったが、皮肉なことに、女子からもいじめに遭っていた。サッカー同様に学校でも、澤は男子に交じってドッジボールやケイドロなどをして校庭を駆け回っていた。しかし、教室でその様子を見ていた女子たちからは快く思われていなかったのだ。
「澤さんは、単に女の子遊びが苦手なだけだったんですけどね。後ろ髪を襟足あたりでパツンと切り揃えて男の子と同じようにしていましたし、男子が彼女を女の子として意識するということもなかったと思うんです。
でも、年頃の女の子たちですからね。自分たちとは遊ばず、憧れの男の子たちと仲良くしている彼女への妬みで、上履きを刃物で切られたり、教科書を隠されたりといじめられたこともあったみたいですよ」(小学校の同級生)
澤はそのことを決して親にいうことはなかった。だが、事情を教師から聞かされた母はこう静かに語ったという。
「つらいかもしれないけど、あなたのやりたいようにやりなさい。いまのまま、外で遊びなさい。悪いことをしたわけじゃないんだから。いつも笑顔でいれば、きっといい結果がついてくるから」
母は決して学校や相手の家に乗り込んだりすることなく、沈黙を守ったものの、澤に自分が信じた道を歩き続けることの大切さを伝えようとしたのだろう。
※女性セブン2011年7月21日号