本誌で好評連載中の漫画『澤飯家のごはんは息子の光がつくっている。』のコミックス第1巻に推薦コメントを寄せてくれたのは、料理研究家として人気の“こうちゃん”こと相田幸二さん(36)。
毎日、父と妹の瑞穂のために料理をする光が、メニューに悩んだり、料理をするのを苦痛に感じる場面がある。日々、家事や仕事に追われる読者も「料理、面倒くさい」と思うこともあるのではないだろうか。
「家事や仕事をしたくないときって、普通にありますよね。料理も毎回やんなきゃいけないこと、義務だと思うと、そういう風に感じられてくる。だから考え方を変えて、“おいしいものを食べられる時間”“今日はコレを食べながら〇〇について話をしよう”と思いながら料理をすると、また違うかもしれないですね」(相田さん)
料理が苦手な人に多いのが、最初から“背伸び”している人だという。例えば、自分は料理を苦手と思っている人にアンケートをとったところ、カレーを作るときに大半の人がカレーのルウを2種類以上混ぜていた。コーヒーやチョコレートなどのちょい足し工夫も大多数。ところが1種類のルウで基本通りに作ったことがあるかというと、大半の人はないという。情報がありすぎて、突然応用編からはいってしまう。
「例えば、肉じゃがを作れない人が、“イタリアン肉じゃが”をおいしく作れるのかというと、疑問ですよね。手軽さやアイディアは大事ですけど、基本があることを無視してしまうと、結局おいしいものが作れなくて楽しくなくなってしまう」(相田さん)
ぼくも、いまでも失敗することがありますよ、とこうちゃんは笑う。最初からパーフェクトにできる人なんていないから、光のように料理本を見たり、ネットで調べてトライし、失敗を重ねて自分のものにしていくのは大事だと思う、と話してくれた。
そして毎日手の込んだことはできなくても、週末などにイベント性を持たせるのもコツ。家族や食べる人が喜べば、作り手にもやる気が生まれるのだ。
「料理って、結局コミュニケーションなんだと思います。例えば夫婦ふたりでごはんを食べていて、せっかく作ったのに相手が無反応だと、作る意欲はなくなりますよ。幸いうちは、妻が、というかお互いに『これは何?』『おいしいね』という会話があると思います」(相田さん)
※女性セブン2011年7月21日号