完全移行まで残り2週間を切り、画面左下の〈アナログ放送停止まであと×日〉という文字が一段と大きくなった。本誌編集部には、視聴者から「地デジ強行」への怒りの声が殺到している。
「プロ野球中継のボールカウント表示が隠れてしまった。今後一切テレビは見ない」(東京在住の50代男性)
さらに切実な声もある。
「5日夜、和歌山を中心に関西から九州にかけて大きな地震があったが、災害情報を伝える画面が隠されてしまった。人命よりも地デジ化が優先なのか」(九州在住の60代女性)
7月24日に地デジ・パニックが起こるのは必至の情勢だ。総務省の「地デジコールセンター」への1日平均の相談件数は5月6300件、6月1万件だったが、7月に入ると3万1000件にまで激増した。
「移行日を過ぎて初めて、テレビが映らなくなることに気付く世帯は、いまだ数十万~数百万世帯に上ると見られます。全国各地で地震が起き、原発事故も収束しない中、情報のライフラインであるテレビを見られなくなる『地デジ難民』を大量に生む政策を強行するなど考えられない」(政府の情報通信審議会委員として地デジ化政策を検証してきた『主婦連合会』の河村真紀子氏)
※週刊ポスト2011年7月22・29日号