自らが原発作業員として働くという前代未聞の潜入レポートを行うのはライターの鈴木智彦氏。同氏が灼熱地獄のなか、収束の目処が立たない原発事故に立ち向かう作業員たちの置かれた状況をレポートする。
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東京電力福島第一原発(1F)で働く作業員の多くは、死と隣り合わせの過酷な労働の割に低賃金である。所属する会社の体質や作業内容、それぞれのスキルにもよるが、日当2万~4万円辺りが相場で、平均、約12時間拘束される。毎日現場に出れば、最高で月給120万円になる計算だが、若くてスタミナのある熟練工であっても月に20日が限度という。
「担当部署によって違うし、天気やその日の作業内容にもよるけど、どこ(の協力企業)も毎日6時間から8時間は作業しているだろう。酷暑の中、防護服に防塵マスクだから、ただ座っているだけでも疲労する。狭い場所では不自然なポーズのまま長時間作業しなきゃならないので体がもたない」(30代の作業員)
にもかかわらず、会社によっては交代要員がいないため休日がとれない。5月14日に60代の作業員が死亡した後も労働環境の抜本的な改革は行なわれておらず、逆に労働時間は増えている。
※週刊ポスト2011年7月22・29日号