本誌・女性セブンは、7月上旬に海産物の放射性物質の検出調査を行ったが、実際に検出された海産物は、100品中28品にのぼり、3割という高確率で汚染が見つかった。そのうち最も濃度が高かった5品は、1位「かわはぎ干もの」、2位「ぶり」、3位「いか」、4位「あじ」、5位「かれい」となった。
千葉・九十九里町内の商店で購入したかわはぎの干ものが217ベクレル/kgと突出しているが、これには理由があるという。
「干物は乾燥させるため水分が減少し、重量に対して放射性物質の比率が高くなります。今回の高い数値もその影響と考えられます」(食環境科学が専門の美作大学教授・山口英昌さん)
着目すべきは、2番目に放射能濃度が高い岩手産のぶり。ぶりは季節によって生息域を変える回遊魚で、春から夏にかけて沿岸を北上し、秋から冬にかけては沖合を南下する。
「ぶりはいわしやあじなどの魚をエサとしています。今回のぶりは岩手産ですが、福島近海の沿岸を北上しているときに、放射能汚染されたエサを食べて体内濃縮された可能性が考えられます」(山口教授)
海産物の放射能汚染は、プランクトンを小魚が食べ、その小魚を中型魚が食べ、それを大型魚が食べる…、この食物連鎖の過程で、より濃縮された放射性物質が魚の体内に蓄積されていく。
「一般的に、魚類には海水の30~100倍でセシウムが濃縮されます。ぶりのような大きな魚になるにつれ、だんだんセシウムの濃縮度が高くなります」(立命館大学名誉教授・安斎育郎さん)
食物連鎖で中型以上の魚にセシウムが蓄積するにはある程度の時間がかかる。
海洋生物環境研究所がチェルノブイリ事故を検証したデータでは、セシウムの濃度がピークになったのは中型魚のすずきが事故発生から5~6か月後、同じく中型魚の真だらが9か月後だった。大型魚のまぐろでは、1年後とされる。
今回、大型魚の一種であるぶりがすでに汚染されているのは実に不気味な現象だ。
※女性セブン2011年7月28日号