水虫は高温多湿で増殖するが、素足でサンダル履きの東南アジアでは少ない。また、地中海沿岸部よりも北欧で患者が多く、これは気候よりも靴を履く習慣が水虫発症に関係していることを示す。近年女性の社会進出の増加や、若い世代のブーツの流行で女性の水虫患者が増えていることからも靴の影響が見て取れる。
日本では、温泉やサウナなどで不特定多数が足ふきマットを共用することが多く、これが水虫拡大の原因の一つとなっている。しかし湿度100%の場合、24時間以上白癬菌が足の皮膚に付着し続けない限り水虫になることはない。
そこで靴下や靴を履く前に乾いたタオルやドライヤーで足を完全に乾かし、付着した白癬菌を除去すれば、水虫にはならない。ただし、軽石などで足の皮を擦ると目に見えない傷がつき、白癬菌は12時間程度で皮膚に入り込むため水虫になる。石鹸を泡立て、優しく洗うことが予防の基本だ。
「市販水虫薬のテレビCMなどでは患部に塗布する映像が多いのですが、白癬菌は症状が出ている場所以外にも潜伏しているので、薬は足の裏全体と足の指の間すべてに塗ることが基本です。かゆみなどの症状は2週間程で消えますが、角質は約28日で剥がれ落ちるため、最低1か月以上塗り続けると完治を目指すことができます」(帝京大学医学部皮膚科主任教授・同大医真菌研究センター・渡辺晋一教授)
水虫のほとんどが家庭内感染なので、水虫患者の家族は全員が同時に治療することも重要だ。また、夏場の水虫対策として、冬の間に治療薬を塗るのもよいが、症状が出ている時のほうが治療は継続しやすい。まずは皮膚科専門医への受診が水虫治療の第一歩だ。(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年7月22・29日号