コンドーム業界の雄・不二ラテックスが開発した、冷却枕が人気を呼んでいる。
なぜ、避妊具メーカーが冷却枕の開発に乗りだしたのか? そしてなぜ、この商品が市場で受け入れられたのか?
3月下旬の発売開始直後から、問い合わせが殺到。薬局などでは品薄状態が続いていた不二ラテックスの冷却枕『ひえぷるやわらかまくら』。「猛暑」「節電」という時勢を受けて、生産ラインのフル稼働が続く。
冷凍庫から取り出した直後の枕の表面温度はマイナス5度。従来品が約200分で表面温度が10度まで上昇するのに対して、『ひえぷるやわらかまくら』は約300分で5度までしか上昇しない。
それでいて価格は従来品より値ごろ感のある約600円(実勢価格)なのだから人気が出ないはずがない――。
コンドームを中心にした避妊具メーカーが、冷却枕市場に参入したのには背に腹はかえられない事情があった。同社医療機器事業部長・岡本昌大氏が語る。
「我が社の主力だったコンドーム事業は、若者層を中心にしたセックスレスや少子化を背景に業績が大幅に悪化していました。国内のコンドームの使用数量は、30年前の最盛期に比べ、約60%にまで落ち込み、当社の主力事業の座から転落したのです。事業を存続させるためにも新規事業の開拓は最重要課題となったのです」
※週刊ポスト2011年8月5日号